【クインテット興行論】きみ達は生活費がなくても柔術をやるのか?

こんにちは、taikiです。

先日のクインテット見ましたか?
今回はクインテットルールの団体戦とシングルマッチに追加して、レジェンドMMAファイターによるアイアンマンルールという新しい試みもありました。

SNSでの反応を見ているとどうもレジェンドMMAファイターの試合が不評のようです。柔術やグラップリングをやっていて、格闘技に精通している人は特にそう感じた方が多かったように思えました。

そのように仰る理由は凄くよく分かるのですが、こういう時こそ、冷静になってどうしたら我々が望むような選手やカードが見られるようになるかを考える必要があります。

今回は、先日のクインテットを題材として興行という視点から格闘技について考えてみたいと思います。

生活費がなくても柔術をやるのか → やらない


このブログを読んでくださっている方は、普段は仕事をして一定の稼ぎがある中で、柔術やグラップリングに取り組んでいる方が大半でしょう。

柔術が好きすぎて、仕事を辞めちゃうといった狂気に満ちた方もいらっしゃるかもしれませんが、そういった方々も生活の為には何らかの収入を確保しているはずです。

どんなに柔術が好きであっても基本的な生活が出来ないようでは柔術をすることも出来ません。

安定した生活の上に柔術は成り立っているのです。

興行収入がなくてもクインテットをやるのか → やらない

安定した生活基盤の上に柔術があるということは納得頂けたと思いますが、これをクインテットに置き換えてみましょう。

  • クインテットにおける生活費≒興行収入
  • 興行収入がなくても興行をやるのか → やらない

クインテットも法人が運営するビジネスです。慈善事業では無いですし、日本政府から補助金がおりてくるようなビジネスでもありません。営利目的の活動です。

この前提に立って考えてみましょう。

レジェンドファイターはいらないのか?否!いる


SNSでクインテットを見た人達の感想を見ているとレジェンドマッチの評価が厳しいです。高度な最先端のグラップリングの攻防という視点でみたらそうかもしれません。

しかし、選手本人達が一番良くわかっているでしょう。

クインテット本戦が興行のメインコンテンツであることは十分理解している上で、そういう若手のグラップラーが安心して試合に集中できるように集客をサポートし、会場を温めようとしてくれているのです。

桜庭選手の地元秋田で開催する初の大会で、絶対に失敗するわけには行きません。そんな中で、少しでも偉大な先輩である桜庭選手の力になろうと協力してくれたレジェンドMMAファイター達には本来なら感謝の気持ちを伝えるべきでしょう。

↑レジェンド達の協力あってこその超満員!

エキシビジョンと宣言すればよかったのか


MMAのレジェンドマッチをエキシビジョンと事前に宣言すればよかったのではという話もあります。

確かにそうかもしれません。きっと運営サイドでもそういう議論はあったのでしょう。

試合前の紹介VTRで桜庭選手が、「アイアンマンルールは実験であって、道場で普段行っているスパーリングを見せたい」的なことを言っていた気がします(うろ覚え)。

桜庭選手は、寝技の楽しい雰囲気を伝えたかったのではないでしょうか。

それが真剣勝負を期待していた人の期待を裏切る感じになっちゃったのかもしれませんね。

感情的に批判するのではなくて、冷静になって、どんな意図があったのかなぁと想像を巡らせてみましょう。クインテットは柔術家・グラップラーにとっては貴重な場所なんですから、我々こそが意図を汲み取らなくてはいけません。

寝技が強いから客が呼べるわけじゃない

また、今をときめく日本人グラップラーと言えばADCCにも出場した岩本健汰選手でしょう。

岩本選手を見たいという声があるのも十分理解出来ますが、残念ながらその知名度はグラップラーの中の知名度であって秋田の地でお客さんを呼べるほどではありません。

それであれば、桜庭チームで出場した秋田工業高校から秋田大学に進学した地元出身の鈴木和宏選手の方が集客効果は高いでしょう。

もちろん所属道場とクインテット運営母体とのコネクションの影響は否定しませんが、それ以上に地元の家族・友人・知人が会場に足を運んで、チケットを購入してくれる効果の方が大きいわけです。

単純に強い実績があるから声が掛かる話ではありません。興行においては強さ以上に見たいと思って会場に足を運んでくれる人の数こそが価値なのです。

(ちなみに、私は鈴木選手も岩本選手も同じ系列の道場に所属してる(いた)こともあって、練習も一緒にさせてもらったこともありますし、両者とも存じ上げております。両者ともめちゃくちゃ強いし、練習熱心な好青年なので応援しています。いつか三角絞め研究所にも出てもらいたいです。)

アウトサイダーの試合数が20試合もある理由

今をときめくRIZINの朝倉兄妹を排出したアウトサイダーという格闘技団体をご存知でしょうか。

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喧嘩自慢が集まる不良による格闘技大会というコンセプトの総合格闘技の興行です。格闘家的に知名度が高い選手がいるわけでもないのに長いこと続いていますよね。

この興行が続いている理由の1つがチケットが売れて安定した興行収入があることです。

安定した興行収入の仕組みが大会の試合数から読み取れます。最近開催されたアウトサイダーの大会をみると試合数が20試合組まれていました。多い時は30試合組まれることもあります。

この理由は、選手の応援団がチケットを購入して会場に足を運んでくれるからです。

20試合あったら40選手出るわけで、1選手応援団が20人いたとしたら、その時点で800人は来場が見込めます。800人が8000円のチケットを購入したら、640万円です。

後楽園ホールのキャパは2000人であり、ホール利用料や選手のファイトマネーを考慮すると興行として成立するかどうかが見えてくるでしょう。

アウトサイダーが活動を続けてこられた理由の1つがチケット販売の仕組みなわけです。

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もちろん、チケット販売が足りなくてもテレビ放映権や協賛のスポンサー料だけで成立することも可能性としてはありえます。

しかし、実際はありません。

チケットが売れない興行はテレビで放送しても視聴者が集まりにくく、視聴率がとれないとスポンサーもつきません。

チケット販売があってこその興行なのです。

まとめ:高度なグラップリングマッチは安定した興行の先にある


クインテットにおいてレジェンドマッチがキツイというのはわかるし、高度なグラップリングマッチが見たいという意見も十分理解出来ます。

そういういった愛がある人こそ、SNSでボヤくのではなく、チケットを買って会場に行って興行を支えて欲しいです。

それ無くしては、高度なグラップリングマッチなんてものは組まれないし、岩本選手をクインテットのマットの上にあげることも出来ません。

高度なグラップリングマッチやまだ見ぬ強豪グラップラーを大きな舞台に導くのは、クインテットの運営母体ではなく、ONEやRIZIN、ましてUFCでもありません。柔術やグラップリングが好きな我々の行動です。

ぜひ、チケットを購入したり、UFCファイトパスでクインテットを見ましょう。そのお金を落とす行動こそが、高度なグラップリングマッチを実現させるのです。

以上「【格闘技興行論】君は生活費がなくても柔術をやるのか?」でした。

オマケ

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