柔術黒帯の経済的価値を高める方法


こんにちは、taikiです。

先日、トイカツ道場の戸井田克也さんのツイートがキッカケで格闘技道場のインストラクターの時給というテーマがSNS上で議論になっていました。

私も柔術家の端くれとして黒帯になるのがどれだけ大変で尊いものであるかは理解しているつもりです。もちろん、読者の皆さん、そしてトイカツさんもその事自体は理解しているでしょう。では、その尊いはずの黒帯と紫帯の時給の差がなぜ100円程度の差になってしまうのでしょうか。

今回は黒帯の価値とその尊さが正当な価値として評価されるとはどういうことかを考えてみたいと思います。

黒帯の価値がわかっている人は誰なのか

何事も価格を決める要素は供給者と消費者のバランスです。
今回の議論で言えば、黒帯の取得に掛かる時間と費用から時給を導き出そうとするのは供給者の目線であり、トイカツ道場の時給1300円は消費者(道場経営者)の「このぐらいなら払っても良い」という消費者の目線です。そして、消費者の声の方が強いというのが現状ですね。

トイカツ道場がここまでの発展を遂げた理由の1つに経営者であるトイカツさんによる徹底した消費者目線があると思います。本人への直接インタビューでもその思考は読み取ることができますね。

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とは言え、我々柔術家にとっては黒帯は尊いものであり、価値があるものということは事実です。では、その価値を理解して、お金を払ってくれる人はどこにいるのでしょうか。

初心者に黒帯はオーバースペック?

柔術家を「帯色の濃さ」という軸と「試合志向・健康志向」という軸で分解してみてみましょう。
格闘技経験のないまっさらな初心者は、こんなポジションになるでしょう。

格闘技の門を叩いたばかりの人にとっては、黒帯がどれぐらいスゴイのかはよくわからないでしょう。実際に私が入門した頃は、紫帯の人も雲の上の存在と感じていて黒帯との違いは正直わかりませんでした(紫帯になった今なら黒帯が更に雲の上にいることはわかる)。もちろん、指導を受ける際にも黒帯だから受けたいという発想は多くの人は持っていないでしょう。

エビを習うのであれば、カイオ・テハである必要もなければ、ヒクソン・グレイシーである必要もないのです。

むしろ親身になって、優しく、安全に指導してくれる紫帯の先生で十分事足ります。トイカツ道場に限って言えば、この領域よりも更に緩く楽しみたい層がメインであって、経験豊富な黒帯でなくてはならない理由はあまりないのでしょう。それが紫帯と黒帯の時給のギャップです。むしろトイカツさんとしたら価格差は敬意であって、格闘家じゃない経営者だったら一律1200円だったのではないでしょうか。

黒帯の価値を理解している人はどこにいるのか

トイカツさんはお客さんは価値に対してお金を払うと仰っています。

では、黒帯の価値を理解して、お金を払う人はどこにいるのでしょうか。
私の仮説では、試合思考の色帯の皆様です。

試合で勝ちたいと強く思っている人に対して、その人が必要な技の知識を教えたり、練習メニューを考えて提供することはとても価値があることでしょう。

要はセミナーやプライベートレッスンです。

特にマスター世代の皆様とプライベートレッスンは相性がいいので、こんな感じで提案されたら嬉しい方は多いのではないでしょうか。

青帯くん
黒帯さん

○○さん、最近の試合や道場内のスパーリングを見ていて思うのですが、ディープハーフの対策をやっておいたらどうでしょうか。

具体的には、爪先を立てて耐える時とお尻をついてベタッとシッティングで耐える時の2つです。

普段のクラスだとなかなか時間もとれないので、プライベートレッスンでこのテーマに絞って集中してやってみませんか?

私がこんな提案をされたら、先生とメニューの議論をして内容をもっと詰めてからお願いすることになるでしょう。本当に価値を理解している人であれば、相応な価格であれば気持ちよく払ってくれます。そして、頑張って吸収しようと真剣にレッスンを受けることでしょう。

つまり「黒帯の価値がわかっている人」に対して、「黒帯の価値が伝わるサービス」を提供すれば、相応の対価は支払われるということです。もちろん、サービス面が充実していないと売れませんが、少なくとも「黒帯の価値をわかっている人」を対象にしない限り、本当の価値は伝わらないでしょう。

逆に言えば、黒帯の価値は取り扱いが難しい高度な領域なのです。

黒帯の価値がわかる人を増やす活動は必要不可欠

黒帯の価値がわかっている人に相応の提案をすると受け入れられるのではという話をすると、「じゃぁ、それだけやってれば儲かるじゃん」と考える人もいるでしょう。プライベートレッスンを活用する方がたくさんいらっしゃれば良いのですが、そんなにたくさんいませんよね。

トイカツさんの言葉を借りるのであれば「知られなければ価値を生み出すことは出来ない」とのことですが、知られることの1つが柔術の競技人口を増やすことじゃないでしょうか。競技人口を増やすためにも柔術の門を叩いてくれた入門者の指導は必要になります。

この様に初心者の皆さんに柔術を楽しんでもらって、続けてもらってこそ黒帯の価値を理解する人が増えて、その価値に対して対価を払う人が増えるという好循環が生まれます。柔術界はまだこのサイクルを作り上げている途中ですね。

まとめ:価値があるものは、その価値を理解している人に正しく訴求しよう


いかがでしたでしょうか。

どんなに価値があると思われているモノやサービスであっても受け取り手によって価値は大きく異なります。以前のトイカツさんがインタビューでこんなことを仰っていました。

格闘技や柔術の選手として実績を残した先生が自分が望む道場を作ったとしても、これから格闘技を始める人が求める道場とはやっぱり一致しないんですよね。
普通に考えて黒帯と白帯では求めるモノが違いますよ。

まさに、今回とりあげた「黒帯の価値がわかっている人」に対して、「黒帯の価値が伝わるサービス」を提供しようという話ですね。

三角絞め研究所も読者としては「柔術がわかる高度な人」を対象に書いています。逆に言えば、柔術をやっていない人にも読んで欲しいとは1ミリも思っていません。わかってくれる人が読んでくれればそれでいいのです!

以上「柔術黒帯の経済的価値を高める方法」でした。
研究所からは以上です。

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